問い合わせフォームは、ホームページを見た人が最初に連絡してくる入口です。何を聞くかと、どこまで必須にするかを決めれば、あとは作り方の違いだけです。
この記事では、実際のサイトのフォームに何が置かれ、何が必須になっていたかを見たうえで、項目の選び方、必須の決め方、同意欄と利用目的の書き方、送信後の確認を順に決めます。
実際のサイトのフォームに置かれていた項目
問い合わせフォームを持つサイト 146 件のうち、項目を機械的に読み取れた 135 件を数えました。下の割合は、その 135 件のうち、その項目を置いていたサイトと、必須にしていたサイトの割合です。
| 項目 | 置いていた | 必須にしていた |
|---|---|---|
| 電話番号 | 100% | 59% |
| お名前 | 100% | 100% |
| 内容・本文 | 100% | 36% |
| メールアドレス | 99% | 73% |
| 同意(個人情報の取り扱い) | 84% | 81% |
| 問い合わせの種類 | 84% | 72% |
| その他(業種固有) | 56% | 20% |
| 希望日時 | 56% | 16% |
| 会社名・団体名 | 31% | 12% |
| 住所・場所 | 19% | 4% |
| ふりがな | 7% | 2% |
| 添付ファイル | 7% | 0% |
| 予算 | 4% | 0% |
| 連絡・相談の方法 | 2% | 1% |
この割合は「フォームに置くべき項目の順位」ではありません。集計したのは SITE PICK が作った完成済みのサイトなので、その作り方の傾向も含みます。
目を引くのは本文欄です。ほぼすべてのフォームにありますが(100%)、必須にしていたのは 36% でした。問い合わせの種類を選んでもらえば用件は伝わるので、本文は書きたい人だけが書けるようにしている、という作りです。また 56% のフォームは、メニュー・指名・土地の状況・納品物の数量といった、その業種でしか聞かない項目を持っていました。
何項目にするか
1 つのフォームの項目数は 4〜13 で、中央値は 8 項目でした。そのうち必須にしていた項目の中央値は 5 です。
- 6 項目以下 10%
- 7〜9 項目 76%
- 10 項目以上 14%
項目は少ないほど入力の手間が減ります。ウェブの使いやすさを研究している米国の調査会社ニールセン・ノーマン・グループ(Nielsen Norman Group)は、フォームの使いやすさについての推奨の中で、不要な項目を削るには手間がかかるものの、入力する人の負担が減り、最後まで入力される割合が上がるので、その価値があるとしています(2016 年)。あわせて、任意の項目は 1〜2 個に絞り、任意であることをはっきり示すよう勧めています。
削る基準は「最初の返事をするのに、その情報が要るか」です。返事のあとで聞けばよいことは、フォームから外せます。
項目の選び方
項目は、役割で 3 つに分けると選びやすくなります。
- 返事をするのに要るもの。お名前と、返事の届け先(メールアドレスか電話番号)
- 誰が対応するかを決めるのに要るもの。問い合わせの種類(見積り・採用・取材など)と、法人なら会社名
- 最初の返事の質を上げるもの。業種ごとの項目(工事の場所、図面、希望日、メニューなど)
問い合わせの種類は、集計したフォームの 84% が置いていました。用件ごとに担当が違う会社ほど役に立ちます。会社名は 31% で、取引先が法人の業種に多い項目です。個人のお客様が中心なら外せます。
必須の決め方
必須にするのは「無いと返事ができない」項目だけです。たとえば電話番号は、集計したフォームの 100% が置いていましたが、必須にしていたのは 59% でした。電話で折り返す仕事でなければ、メールで返事ができるので任意にできます。
必須の示し方にも決まった型があります。ニールセン・ノーマン・グループは、必須の項目にはすべて印を付けるよう勧めています(2019 年)。「すべて必須です」と冒頭に書くだけの方法や、任意の項目にだけ印を付ける方法は、入力する人が説明を読み飛ばしたり忘れたりするので避ける、としています。印にはアスタリスク(*)が広く使われています。
同意欄と利用目的の書き方
集計したフォームの 84% は、個人情報の取り扱いについての同意欄を置いていました。
法律の面で押さえるのは、同意の取り方より「利用目的の明示」です。個人情報保護委員会の Q&A では、ホームページ上の入力画面で本人が記入した個人情報を取得する場合は、原則として利用目的の明示が必要とされています(個人情報保護法第 21 条第 2 項)。ただし、取得の状況からみて利用目的が明らかな場合は、例外的に明示は不要とされ、その例として、申込内容の確認や結果の通知のためにメールアドレスを使う場合が挙げられています。一方で、新しいサービスの案内や提携先への提供に使うことは、自明の利用目的に当たらない場合があるので注意が必要、とも書かれています。
フォームでは、送信ボタンの近くにプライバシーポリシーへのリンクを置き、「いただいた情報は、お問い合わせへの返答に使います」のように使い道を書いておきます。メールマガジンや案内の送付にも使うなら、その使い道も書きます。自社の場合に何が必要かは、取り扱う情報や使い方によって変わるので、判断に迷う場合は専門家に確認してください。
送信したあとを確かめる
フォームは、送信してから相手に返事が届くまでがひと続きです。公開の前に、次を実際に送って確かめます。
- 届く先 社内の誰のメールに届くか。担当が休みでも誰かが見られる宛先にします。
- 送信した人への自動返信 受け付けたことと、いつごろ返事をするかを書きます。自動返信が迷惑メールに入らないかも、実際に送って確かめます。
- スマートフォンでの入力 メールアドレスや電話番号の欄で、それに合ったキーボードが出るか。項目が 1 列に並んでいるか。
- いたずら送信への備え 公開すると、機械的な送信が届くようになります。フォームの作成ツールやサーバーに、機械的な送信をはじく仕組みがあるかを確かめます。
実際のサイトでフォームを見る
組み方の違う 2 つを並べます。土木の会社は、ご用件(工事の相談・協力会社の登録・採用・近隣の方からの問い合わせ)を選んでもらい、工事の場所を任意で聞く 7 項目のフォームです。ばねメーカーは、ご用件(見積り依頼・技術相談・工場見学)に加えて図面の添付と希望納期を任意で聞く 10 項目のフォームで、見積りの最初の返事に要る情報を先にもらう作りです。
作り方は 3 つ|完成済み・自作・オーダーメイド
作り方はどれでも選べます。優劣ではなく、向いているケースが違います。
- オーダーメイドで作る(制作会社に依頼) 要件を渡せば設計から任せられます。自社に合わせて一から作りたい場合や、撮影・原稿まで任せたい場合に向きます。SITE PICK でもオーダーメイド制作の相談を受け付けています。
- 自分で作る(自作) 費用は抑えられます。フォームの作成ツールを使えば自分でも置けます。項目・必須・自動返信・届く先を、この記事の順に決めてから作ると迷いません。
- 完成済みのサイトから選ぶ(完成済み) 構成・更新の仕組み・入口が組まれた状態を実物で確かめ、社名・写真・文章を差し替えて公開します。完成形を先に確認してから決めたい場合に向きます。この記事の集計は、その実際のサイトのデータです。