最終更新:10 月 28 日 00:34(日本時間)
ガイドラインや Q&A が改正されたら追記します。
すぐ見る:よくある疑問 / 禁止されている広告 / 限定解除の 4 要件 / ページごとのチェックリスト / 書き方の見直し例 / 違反したとき
ひとことで言うと
クリニック・歯科医院のホームページは、チラシや看板と同じ「広告」として決まりがある
- 2018 年 6 月から、医院のホームページも医療法の広告の決まりの対象になった。うそ、大げさな言い方、ほかの医院と比べて優れていると言うこと、患者さんの体験談、説明のないビフォーアフター写真は載せられない
- 載せてよいことは法律と告示で決まっている。それ以外のこと(自由診療の詳しい説明など)は、問い合わせ先・治療の内容・費用・リスクなどをきちんと書く条件(限定解除)を満たしたときに載せられる
- 違反の疑いがあると、自治体が説明を求めて直すよう指導する。従わないと中止や是正の命令が出され、罰則もある。迷ったら、医院を所管する自治体・保健所の窓口に確かめる
どうすればいい?
よくある疑問と答え
-
ホームページも医療広告ガイドラインの対象?
はい。2018 年 6 月 1 日に施行された医療法の改正で、医院のウェブサイトも規制の対象になりました。医院の公式 SNS やメールマガジンも対象です。
→ 対象になった経緯と「広告」に当たる条件 -
「患者さんの声」や口コミは載せられる?
治療の内容や効果についての体験談は、医院のホームページに載せられません。口コミサイトからの転載や、スタッフが代わりに書いた体験談も同じ扱いとされています。
→ 体験談・口コミの扱い -
ビフォーアフター写真(症例写真)は載せられる?
写真だけを載せるのはできません。治療の内容・費用・期間や回数・主なリスクや副作用などの詳しい説明を、写真ごとに同じ場所へ付けた場合は、禁止される写真に当たらないとされています。
→ ビフォーアフター写真の扱い -
自由診療の料金ページには何を書けばいい?
保険が使えないこと(自由診療であること)と標準的な費用は欠かせません。治療の詳しい説明まで載せるなら、治療の内容・期間と回数・主なリスクと副作用・問い合わせ先も書きます。
→ 限定解除の 4 要件 - 院長紹介に「専門医」と書いていい? 届出のある資格なら、「日本専門医機構認定○○専門医」「○○学会認定○○専門医」のように、認定した団体の名前と資格名を書きます。単に「○○専門医」とだけ書くのは誇大広告に当たるとされています。
-
違反するとどうなる?罰則は?
ふつうは、まず自治体から説明を求められ、直すよう指導されます。従わないと中止・是正の命令が出され、命令に従わない場合やうその広告には、6 か月以下の拘禁刑または 30 万円以下の罰金があります(医療法第 87 条)。
→ 行政の対応の流れ - 「当院は医療広告ガイドラインを守っています」と大きく書けば安心? いいえ。厚生労働省の Q&A では、守っていることは特に強調することではなく、過度に書くと誇大広告に当たる可能性がある、とされています。
-
整骨院・接骨院もこのガイドラインの対象?
対象が別です。柔道整復の施術所は、医療法ではなく柔道整復師法の広告の決まりが当てはまります。
→ 整骨院・接骨院・鍼灸院の場合
詳しくは:ページごとのチェックリスト / 書き方の見直し例 / 制作・広告の担当者向けの詳細
この記事は、クリニック・歯科医院の院長・事務長・ホームページの担当者に向けたものです。これからホームページを作る・作り直す方と、今のホームページが医療広告ガイドラインに違反していないか心配な方を対象にしています。厚生労働省の医療広告等ガイドライン(2026 年 3 月 30 日の最終改正)・Q&A・事例解説書と、医療法の条文で確かめられたことだけをもとに、禁止されている広告、限定解除の要件、違反事例と罰則を整理し、ページごとに確かめる点をまとめます。
おことわり
この記事は法律相談ではありません
ある表現が違反に当たるかどうかは、ページ全体の見え方や医院の実態によって変わり、判断するのは医院を所管する都道府県・保健所を設置する市・特別区です。この記事はガイドラインなどに載っている考え方と例を整理したもので、個別の表現が問題ないと保証するものではありません。迷う表現は、公開する前に自治体の窓口に確かめてください。
医療広告ガイドラインとは|ホームページが規制の対象になった経緯
医療広告ガイドラインは、医療法の広告の決まりを、どう読んでどう運用するかを厚生労働省が示した指針です。正式な名前は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」で、2026 年 3 月の改正から通称が「医療広告等ガイドライン」になりました。あわせて、具体的な考え方の例をまとめた Q&A と、実際の事例を図で解説した「事例解説書」も出ています。
2018 年 6 月から、ホームページも「広告」になった
もともと医院のホームページは、原則として広告の規制の対象ではなく、2012 年の「医療機関ホームページガイドライン」で関係団体などの自主的な取り組みを促していました。ところが美容医療についての相談が増え、2015 年 7 月 7 日に消費者委員会が、医院のウェブサイトにも法律の規制が必要だとする建議を出しました。
これを受けて 2017 年の通常国会で医療法が改正され(平成 29 年法律第 57 号)、2018 年 6 月 1 日に施行されました。規制の対象は、単なる「広告」から「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に広がり、医院のウェブサイトもチラシやテレビ CM と同じように、うそや大げさな表示が禁止され、是正命令や罰則の対象になりました。一方で、ウェブサイトにまでチラシと同じように載せてよいことを絞ると、患者さんが知りたい詳しい診療の内容が伝わらなくなるため、一定の条件を満たせば、載せてよいことの限定を外せる「限定解除」の仕組みが設けられました。
最新の改正(2026 年 3 月・4 月)
2025 年の臨時国会で成立した医療法の改正(令和 7 年法律第 87 号)の一部が 2026 年 4 月 1 日に施行され、オンライン診療が法律で定義され、患者さんがオンライン診療を受ける場所として「オンライン診療受診施設」ができました。これに合わせてガイドラインと Q&A が 2026 年 3 月 30 日に改正され、オンライン診療受診施設の広告の決まりが加わりました。同じ日に事例解説書も第 6 版になり、自由診療の限定解除の要件を満たしていない事例と、SNS・動画の事例が増えています。ホームページの基本的な決まり(禁止される広告・限定解除の要件)の骨組みは、2018 年からの形のままです。
「広告」に当たる 3 つの条件
まず、どんなものが広告に当たるかです。医療広告等ガイドラインでは、次の 3 つをすべて満たすものを医療広告として扱うとしています。
- 患者さんの受診などを誘う意図がある(誘引性)
- 医師・歯科医師の名前や、病院・診療所の名前が分かる(特定性)
- 医業・歯科医業や、病院・診療所についての内容である
医院のホームページ、公式 SNS、メールマガジン、チラシの QR コードから開くページ、医院のアプリ、会員だけが見られるページも対象とされています(Q&A・事例解説書)。「これは広告ではありません」と書いても、医院が特定でき、受診を誘う内容なら広告として扱われます。一方で、院内の掲示や院内で配るパンフレット、職員の求人広告は、通常は広告とはみなされないとされています。
決まりは「何人も」と書かれていて、医院だけでなく、広告代理店・アフィリエイター(紹介して成果に応じて報酬を受け取る人)・患者さんなども対象です。依頼を受けて広告を作る制作会社や広告代理店も、違反があれば医院とともに指導などの対象になり得るとされています。
禁止されている広告と、ガイドラインに載っている違反事例
医療法第 6 条の 5 と医療法施行規則第 1 条の 9 で禁止されている広告を、ガイドラインと Q&A の例と並べました。表の右の列は、ホームページのどこに出やすいかの目安です(この記事での整理)。
| 種類 | ガイドライン・Q&A に載っている例 | 出やすい場所 |
|---|---|---|
| うその広告(虚偽広告) | 「まったく危険のない手術です!」のように安全を言い切る表現、治療後に定期的な処置が要るのに「一日で全ての治療が終了します」、根拠や調査の方法を示さない「満足した方○%」のような調査結果、加工・修正した術前術後の写真、「厚生労働省の認可した○○専門医」、MRI を持っていない医院が MRI のイメージ画像を使う。罰則付きで禁止されている | トップ・診療案内・症例 |
| ほかの医院と比べて優れていると言う広告(比較優良広告) | 「日本一」「No.1」「最高」「最良」などの最上級の言い方(事実でも禁止)、「県内一の医師数を誇ります」、「著名人も当院で治療を受けております」、雑誌の「病院の一覧」をそのまま載せる | トップ・キャッチコピー・メディア掲載 |
| 大げさな広告(誇大広告) | 「知事の許可を取得した病院です!」と強調する、減ったあとも古い医師数を載せ続ける、大きな字の料金が条件付きで注釈が見落とされる、活動の実態がない団体の認定、要件のない「○○センター」、「比較的安全な手術です」、「最先端」「最適」、科学的な根拠が乏しいのにリスクや効果を強調して受診に誘う | 診療案内・料金・医院紹介・コラム |
| 公序良俗に反する広告 | わいせつ・残虐な画像や映像、差別を助長する表現など | 画像・動画 |
| 患者さんの体験談 | 治療の内容や効果について、患者さんの主観や伝聞にもとづく体験談。内容が載せてよい範囲でも禁止される | 患者さんの声・ブログ・症例 |
| 誤解させるおそれのある治療前・治療後の写真 | 説明が不十分なビフォーアフター写真やイラスト。治療前だけ・治療後だけの写真も同じ扱い | 症例・バナー・SNS |
| 載せてよい事項以外の広告 | 「○○専門外来」、死亡率・術後生存率、未承認の医薬品による治療、「審美治療」、雑誌やテレビで紹介された旨、研修を受けた旨、医師個人の手術件数、効果に関する表現。限定解除の要件を満たせば載せられるものもある | 診療案内・医院紹介・院長紹介 |
| その他(品位を損ねる広告など) | 「今なら○円でキャンペーン実施中!」のように費用を前面に出す、「○○治療し放題プラン」、「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」のように医療と関係のない物で誘う、ふざけた表現。厳に慎むべきとされている | お知らせ・料金・バナー |
直接言っていなくても、全体を見て暗に伝わる表現も対象です。ガイドラインでは、「がん消える」と読める URL や、「No.1 Hospital」を思わせるメールアドレス、ほかの病院の建物の写真、病人が元気になる姿のイラストも、認められない例として挙げられています。また医療法とは別に、景品表示法・医薬品医療機器等法(薬機法)・健康増進法などの決まりも重ねて当てはまることがあります。
体験談・口コミの扱い
体験談が禁止されているのは、患者さんの状態によって感想が違うのが当然で、誤解を与えるおそれがあるためとされています。事例解説書では、次のようなものも禁止される体験談の例として載っています。
- 口コミサイトからの転載・抜粋 口コミサイトの投稿を「患者様の声」として転載するもの。医院に有利な口コミだけを抜き出して載せるのは誇大広告に当たるとされています。
- スタッフが書いた体験談 院長やスタッフが自分で受けた治療の体験談や、患者さんの体験をスタッフが代わりに書いたブログも、患者さんが書いたものと同じ扱いです。
- 直筆のアンケートの画像・症例紹介の形の体験談 患者さんの直筆アンケートを写真や PDF で載せるもの、医師による症例紹介の中に患者さんの「痛みが和らいだ」といった言葉を入れるものも対象です。
- 口コミサイトの編集を頼む 医院が頼んで、口コミサイトの運営者に否定的な口コミを消させたり、内容を書き換えさせたりすると、医療広告に当たり禁止されるとされています(名誉毀損などに当たる投稿の削除の依頼は別)。
一方で、個人のブログや SNS、第三者が運営する口コミサイトに患者さんが自分で書いた体験談は、医院が費用を負担して掲載を頼むなどしていなければ、広告に当たらないとされています。医院が患者さんに良い口コミの投稿を頼むと、お礼の有無にかかわらず、誘う意図があるものになるとされています。
次に読む:Google ビジネスプロフィールの口コミとホームページの役割の分け方
ビフォーアフター写真(症例写真)の扱い
ガイドラインでは、誤解させるおそれがあるビフォーアフター写真は認められないとしたうえで、通常必要とされる治療の内容・費用などと、治療の主なリスク・副作用などの詳しい説明を付けた場合は、これに当たらないとしています。ただし、その説明をリンク先の別のページに置いたり、良い点の説明と比べて極端に小さな文字で書いたりしてはいけないとされています。
事例解説書では、写真だけのもの、説明が足りないもの、画像をクリックしないと説明が出ないもの、複数の症例の説明を 1 か所にまとめたもの、トップページのバナーや公式 SNS に説明なしで写真を使ったものが、認められない例として載っています。加工・修正した写真はうその広告、撮影の条件を変えて効果を強調した写真は誇大広告として扱われます。
載せてよいことと、限定解除要件(4 つの条件・自由診療の費用とリスク)
医療法第 6 条の 5 第 3 項は、載せてよい事項を決めています。主なものは、医師・歯科医師であること、診療科名、医院の名前・電話番号・場所・管理者の名前、診療日・診療時間・予約の有無、設備や職員の数、医療従事者の名前・年齢・性別・役職・略歴、相談窓口や安全・個人情報の取り組み、紹介できるほかの医院、提供している医療の内容(保険診療などの検査・手術・治療の方法)、手術の件数などの決められた実績です。
これ以外のことは原則として載せられませんが、医療法施行規則第 1 条の 9 の 2 に決められた次の要件をすべて満たすと、限定を外して載せられます(限定解除)。③と④は、自由診療について情報を出す場合だけの要件です。
| 要件 | 注意されている点 |
|---|---|
| ① 患者さんが自分で求めて見る情報であること(ウェブサイトなど) | ふつうの医院のホームページは、原則としてこれを満たすとされている。検索結果に出る広告(リスティング広告)やバナー広告は満たさないので、載せてよい事項しか載せられない |
| ② 問い合わせ先を書くなどして、患者さんがすぐに問い合わせられること | 電話番号やメールアドレスなど。「予約専用」とだけ書いた電話番号、自動音声だけで折り返しがない番号、受付の自動返信だけで答えが来ないメールアドレスは、要件を満たすとは認められないとされている |
| ③ 自由診療の、通常必要とされる治療の内容・費用などを書くこと | 通常必要とされる治療の内容、標準的な費用、治療の期間と回数を書く。費用がはっきりしないときは、最低金額から最高金額(よく発生する追加費用を含む)までの範囲を示す。「○円〜」と最低金額だけを書く、「料金は状態により異なります」とだけ書くのは不十分な例とされている |
| ④ 自由診療の、主なリスク・副作用などを書くこと | 「ダウンタイムはありません」のような良い点の説明や、「この施術を受けられない方」の一覧だけでは、リスク・副作用の説明にならないとされている。Q&A では、「時間がたつと吸収されて元に戻る」「数回の注射が要る場合がある」程度の記載だけでは要件を満たさないとしている |
③と④の情報は、リンク先の別のページに置いたり、良い点の説明より極端に小さな文字で書いたりしてはいけないとされています。Q&A では、文字が極端に小さい、背景と同じような色で書いている、わざと情報を多くして必要なことを見落とさせる、といった書き方も、すぐに見られる状態ではないとしています。いくつもの治療や薬をセットにしたメニューで、説明をまとめて書くのも不十分な例とされています。
なお、限定解除をしなくても載せられる自由診療もあります。保険診療と同じ方法で行う自由診療(しみ取り・ほくろの除去・歯列矯正など)と、薬機法の承認を受けた医薬品や医療機器を承認の範囲で使う自由診療(承認されたインプラントを使う治療など)は、保険が使えないこと(「自由診療」「全額自己負担」など)と標準的な費用を書けば、載せてよい事項になります。麻酔などの費用が別にかかるときは、それを含めた総額の目安も分かりやすく書くこととされています。限定解除をしても、うそ・大げさ・体験談などの禁止は外れません。
医療機関ネットパトロールと、指摘が多い例
医療機関ネットパトロールは、厚生労働省の委託事業「医業等に係るウェブサイトの調査・監視体制強化事業」として、医院のウェブサイトにうそや大げさな表示がないかを見回る仕組みです。誰でも通報フォームから知らせることができ、委託先が自ら探して確かめる監視(能動監視)も行っています。違反が見つかると医院に通知して自主的な見直しを求め、改善の確認のあとも直らない医院は、所管する自治体に情報を伝え、自治体が指導などを行います。
2026 年 3 月 26 日の厚生労働省の分科会の資料では、2025 年度(2026 年 2 月 28 日時点)に、通報と能動監視で審査した 2,092 サイトのうち 1,842 サイトに違反があり、違反は合わせて 5,225 件でした。種類別でいちばん多かったのは「広告が可能とされていない事項の広告」(限定解除の要件を満たさないまま、載せてよい事項以外を載せたもの)で、前の年度までと同じ傾向とされています。分野別では、歯科は 377 サイトで 1,159 件の違反でした。能動監視では、Instagram と TikTok でビフォーアフター写真の違反がいちばん多く見つかっています。
同じ資料では、違反があったサイトのうち 1,238 サイトが改善または広告の中止に至った一方、2 回目の改善の確認でも直っていなかった医院について、377 サイトを所管する自治体に改善の指導などを依頼したとしています。
また、ネットパトロールのサイトでは、事務局を装った迷惑メールや問い合わせが医院に送られていると注意を呼びかけていて、事務局や厚生労働省からメールを送ることはないとしています。「ネットパトロールから違反の指摘」をうたうメールが届いたら、メールの中のリンクや連絡先を使わず、自治体の窓口などに確かめてください(この記事での整理)。
違反したときの行政の対応と罰則
ガイドラインに書かれた指導の流れと、医療法の条文を並べました。ガイドラインは、自治体が事例に応じて柔軟に対応するものとしていて、いつもこの順で進むとは限りません。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 任意の調査・行政指導 | ふつうはまず、医院に説明を求めるなどして調べる。違反が確かめられたら、広告の中止や内容の是正を求め、必要に応じて報告書の提出や書面での改善指導を行う。広告を作った・載せた制作会社や広告代理店も、調査や指導を受けることがある |
| 報告命令・立入検査(医療法第 6 条の 8 第 1 項) | 任意の調査に応じないときなどに、都道府県知事・保健所を設置する市の市長・特別区の区長が報告を命じたり、職員が事務所に立ち入って広告の資料を調べたりできる。報告を怠る、うその報告をする、検査を拒むと、20 万円以下の罰金(第 89 条) |
| 中止命令・是正命令(医療法第 6 条の 8 第 2 項) | 行政指導に従わない、違反をくり返すなどの場合に、期限を定めて広告の中止や内容の是正を命じる。命じる前に弁明の機会が与えられる |
| 罰則(医療法第 87 条) | うその広告(第 6 条の 5 第 1 項の違反)と、中止・是正の命令に従わない場合は、6 か月以下の拘禁刑または 30 万円以下の罰金。ガイドラインは、うその広告で行政指導に応じない場合などに告発を考えるべきとしている |
| 行政処分(医療法第 28 条・第 29 条) | 悪質な違反広告では、管理者の変更命令や、開設の許可の取り消し・期間を定めた閉鎖の命令も考えるべきとされている |
| 公表 | 行政指導に従わずに命令や告発をしたときは、原則として事例を公表して注意を呼びかけるとされている |
命令の相手は、病院・診療所の場合は開設者か管理者、広告代理店などの場合はその代表者とされています。なお、ガイドラインの本文には罰則が「懲役」と書かれていますが、e-Gov 法令検索で見られる現在の医療法第 87 条では「拘禁刑」になっています。
整骨院・接骨院・鍼灸院の場合
厚生労働省の Q&A では、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復の施術所の広告は医療法の対象ではなく、それぞれの法律(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、柔道整復師法)と関係する通知が当てはまるとしています。柔道整復師法第 24 条は、柔道整復師であることと名前・住所、施術所の名前・電話番号・場所、施術日・施術時間、厚生労働大臣が指定する事項を除いて広告してはならないと定めています。厚生労働省は、これらの施術所向けに別の「あはき・柔整広告ガイドライン」を出しています。
また Q&A では、診療所でない場所に「○○クリニック」のような紛らわしい名前を付けることは医療法で禁止されている、としています。この記事のチェックリストは医院(病院・診療所)向けなので、施術所は施術所向けのガイドラインで確かめてください。
クリニック・歯科医院のホームページ|ページごとのチェックリスト
ガイドライン・Q&A・事例解説書に載っている点を、ホームページのページごとに並べ直しました(この記事での整理)。作り直しのときや、今のサイトを見直すときに、上から順に確かめてください。当てはまるかどうか迷う項目は、自治体の窓口に確かめます。
トップページ・キャッチコピー・医院の名前
- 「日本一」「No.1」「最高」のような最上級や、ほかの医院より優れていると読める言い方がない
- 「危険はまったくない」「どんな症例でも成功」のような、医学上あり得ない約束や、回復を保証するように読める言い方がない
- 「最先端」「最適」を使っていない。「最新」は、事実で根拠を示せる場合だけにしている
- 医院の名前は正式な名前で載せ、「○×医院 糖尿病クリニック」「○×病院 ○○センター」のような併記をしていない(国の事業や自治体が認めた場合を除く)
- 写真は自院の建物・設備のもので、ほかの病院の建物や、自院にない機器のイメージ画像を使っていない
- ドメインやメールアドレスに、効果や順位を思わせる文字列が入っていない
- あいさつ文は「開院○周年」「はじめまして」のような、医療の内容に踏み込まないものにしている
診療案内・診療科名
- 診療科名は、法令で認められた名前(内科・小児科・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科など、その組み合わせ)だけを使っている。「総合診療科」「審美歯科」など根拠のない名前を診療科として書いていない
- 「○○専門外来」「○○外来」と書いていない(書くなら限定解除の要件を満たす)。「糖尿病の治療を行っています」のように、保険診療などで行う治療を書くのは可能とされている
- 治療の方法は、保険診療などで行うものを書き、「完全に治る」のように効果を推測で言っていない
- 治癒率・成功率・改善率など、治療の効果を表す数字を載せていない(限定解除のうえで載せるなら、根拠を示せるようにする)
- 「こんな症状が出ていれば命に関わります」のように、根拠の乏しいリスクを強調して受診に誘っていない
- 医薬品や医療機器の販売名(商品名)・型番を載せていない
自由診療の料金ページ
- 治療ごとに、保険が使えないこと(「自由診療」「全額自己負担」など)を書いている
- 標準的な費用か、最低金額から最高金額(よく発生する追加費用を含む)までの範囲を書いている。「○円〜」と最低金額だけにしていない
- 麻酔の費用や指導料が別にかかるとき、あわせて行うことが多いほかの治療があるときは、それを含めた総額の目安を書いている
- 治療の内容、期間と回数、主なリスク・副作用を、その治療の説明と同じページの、見やすい大きさの文字で書いている
- 大きな字の料金が条件付き(何か所か同時など)なのに、条件を小さな注釈にしていない
- 「キャンペーン」「割引」「し放題」のように費用を前面に出していない(料金を太字で分かりやすく示すことは差し支えないとされている)
- 未承認の医薬品・機器や、承認と違う目的での使い方をする治療は、追加で求められる説明(担当者向けの節)をそろえている
症例写真(ビフォーアフター)
- 写真ごとに、治療の内容・期間と回数・費用・主なリスクと副作用を、写真のすぐ近くに書いている(複数の症例の説明を 1 か所にまとめていない)
- 説明をクリックで開く仕組みや、別のページへのリンクにしていない
- 写真を加工・修正していない。治療前と治療後で、撮影の条件や被写体の状態を変えていない
- 治療前だけ・治療後だけの写真やイラストにも、同じ説明を付けている
- トップページのバナーや SNS への投稿でも、説明のないビフォーアフター写真を使っていない
院長・医師紹介、スタッフ紹介
- 専門医などの資格は「日本専門医機構認定○○専門医」「○○学会認定○○専門医」の形で、団体名と資格名を書いている。単に「○○専門医」や「厚生労働省認定○○専門医」と書いていない
- 書いている資格が、広告してよい資格として届出のあるものか、厚生労働省の一覧で確かめた(届出のない「認定医」「指導医」などを載せるなら限定解除の要件を満たす)
- 略歴は、出身校・学位・免許を取った日・勤めた医療機関など、確かめられる事実を並べている。「○○研修修了」と書いていない
- 学会は、現任の役員で名簿が公開されている場合だけ書いている。単に「○○学会会員」とは書いていない
- 医師個人が行った手術の件数を載せていない
- 非常勤の医師は、非常勤であることと勤務の日時(「火曜と木曜の午後」など)を書いている
- 医師数・スタッフ数を書くなら時点を書き、実際の人数に合わせて更新している
- 「著名人も推薦」「芸能プロダクションと提携」のような、著名人との関係を強調する書き方をしていない
患者さんの声・口コミ
- 治療の内容や効果についての体験談を載せていない(口コミサイトからの転載、スタッフが書いたもの、直筆アンケートの画像を含む)
- 患者さんに、良い口コミを書くよう頼んでいない。口コミサイトに、否定的な口コミの削除や順番の入れ替えを頼んでいない
- 患者さんへの満足の調査は、調査をしている旨と結果の入手方法だけにして、「満足した方○○%」のような結果そのものを載せていない
お知らせ・ブログ・コラム
- ブログやコラムも広告として、ほかのページと同じ基準で見直している
- 「雑誌○○に掲載されました」「テレビで院長が紹介されました」と載せていない(載せるなら限定解除の要件を満たす)
- 新聞・雑誌の記事を引用するときは、引用した部分もガイドラインに沿う内容か(改善率などが入っていないか)を確かめている
- 健康番組の紹介や根拠の乏しい文献だけをもとに、治療や生活の改善法を勧めていない
- 「治療後にプレゼント」のような、医療と関係のない物で誘っていない
- 休診日・診療時間の変更・内覧会のお知らせなど、医院の運営の情報を中心にしている
SNS・埋め込み・バナー・検索広告
- 公式 SNS のプロフィール・投稿・返信・ハッシュタグも、ホームページと同じ基準で見直している
- ホームページに埋め込んだ SNS の投稿の一覧に、説明のないビフォーアフター写真や体験談が出てこない
- 自由診療を SNS で紹介するときは、費用・リスクなどの必要な情報を、プロフィール欄や同じ投稿の中で、まとめて見られるようにしている
- 検索広告(リスティング広告)やバナー広告には、載せてよい事項だけを書いている(限定解除はできない)
問い合わせ・予約・採用・全体
- 限定解除をするページから、すぐに問い合わせられる電話番号やメールアドレスがあり、実際に人が答えている(「予約専用」だけにしていない)
- 採用ページは、医院への受診を誘う内容になっていない(求人を目的とした広告は、通常、医療広告とはみなされないとされている)
- 「医療広告ガイドラインを遵守しています」を大きく強調していない。行政の認証を受けたように見える表示がない
- 制作会社・広告代理店・アフィリエイトなど、医院以外が作る広告の中身も、医院が確かめている
書き方の見直し例(見直す前 → 見直した後)
ガイドライン・Q&A・事例解説書に載っている例をもとに、ホームページでよく見かける書き方の直し方を並べました(この記事での整理)。右の列が根拠です。見直した後の書き方も、ページ全体の見え方や医院の実態によって判断が変わることがあり、問題がないことを保証するものではありません。
| 見直す前 | 見直した後 | 根拠 |
|---|---|---|
| 「即日インプラント。1 日で全ての治療が終了します」(あとで定期的なメンテナンスが要る) | 治療の流れ(検査・手術・定期的なメンテナンス)を示し、通院が続くことが分かるように書く | ガイドライン(虚偽広告)・事例解説書 |
| 「医療脱毛 満足した患者様○○%」 | 「患者さんへのアンケートを行っています。結果は受付でお渡しできます」のように、調査をしている旨と結果の入手方法を書く | ガイドライン(虚偽広告・広告告示第 3 条第 9 号) |
| 「歯を削らない痛くない治療」 | 「痛くない」を外す。「歯を削らない治療」は、削らなくても適正な医療ができる範囲で書く | Q&A 3-22 |
| 「最先端の医療を提供します」 | 行っている検査・手術・治療の方法を具体的な名前で書く | Q&A 2-2・ガイドライン(提供される医療の内容) |
| 「県内一の医師数を誇ります」 | 「常勤の医師○名(○年○月現在)」と、比べずに時点を付けて書き、実際の人数に合わせて更新する | ガイドライン(比較優良広告・誇大広告) |
| 「糖尿病専門外来」 | 「糖尿病の治療を行っています」(保険診療などで行う治療として書く) | ガイドライン(広告可能事項以外の広告)・Q&A 2-6 |
| 「審美歯科」として、中身を書かずに案内する | 承認を得た医薬品を使う場合は「ホワイトニング(自由診療・標準的な費用○円)」のように、提供する治療を具体的に書く | Q&A 3-18・事例解説書 |
| 「○○専門医」 | 「日本専門医機構認定○○専門医」「○○学会認定○○専門医」 | ガイドライン・Q&A 3-5・事例解説書 |
| 院長の略歴に「○○研修修了」「○○学会会員」 | 研修と、単なる会員である旨は外す。学会の役職は、現任で名簿が公開されているものだけ書く | Q&A 2-20・3-15 |
| 非常勤の医師を、毎日いる医師と同じように並べる | 「非常勤(火曜と木曜の午後)」と書き添える | ガイドライン(医療従事者に関する事項) |
| 「インプラント手術 150,000 円〜」 | 「自由診療です。総額の目安(1 歯欠損の場合)○円〜○円。検査・骨の移植などが要る場合は別に○円〜○円」のように、範囲と追加費用を書く | ガイドライン(限定解除③)・事例解説書 |
| 「リスク:ダウンタイムはありません」 | その治療の主なリスク・副作用(痛み・腫れ・内出血・感染など、その治療で起こり得るもの)を具体的に書く | ガイドライン(限定解除④)・事例解説書 |
| 「費用・リスクについては料金一覧へ」と別のページに置く | 症例写真や治療の説明と同じ場所に、極端に小さくない文字で書く | ガイドライン・事例解説書 |
| 症例写真に「術前」「術後」の見出しだけ | 写真ごとに、治療の内容・期間と回数・費用・主なリスクと副作用を付ける | ガイドライン・Q&A 2-8・事例解説書 |
| 「患者様の声」に、口コミサイトの投稿やアンケートの画像を載せる | 載せない。診療の流れ・設備・相談の受け方など、医院が事実として書ける内容に置きかえる | ガイドライン・Q&A 2-9・事例解説書 |
| 「夏のキャンペーン。期間限定で割引価格」を大きく出す | 料金表に費用を載せ、割引を前面に出さない | ガイドライン(品位を損ねる広告)・事例解説書 |
| 「頑張ったご褒美にプレゼント!」 | 載せない | ガイドライン・事例解説書 |
| トップに大きく「厚生労働省の医療広告ガイドラインを遵守しています」 | 書くならページの下などに、強調せずに書く | Q&A 6-13・事例解説書 |
制作会社・広告の担当者向けの詳細
ホームページや広告を作る側が、作る前に押さえておきたい点です。ガイドライン・Q&A・事例解説書の記載をもとにしています。
未承認の医薬品・医療機器を使う自由診療
薬機法の承認を受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品や、承認と違う効能・用法で使うもの(未承認医薬品等)を自由診療で使う場合、限定解除の要件として、次の 5 つも十分に書く必要があるとされています。
- 未承認医薬品等であること
- 入手経路(医師の個人輸入ならその旨)と、個人輸入の医薬品等の注意点を説明した厚生労働省のページの案内
- 同じ成分・性能の国内で承認された医薬品等の有無(あれば、承認の条件があるかも)
- 主要な欧米の国での承認の状況と、重大な副作用などの海外の情報(情報が足りないときは、重大なリスクが分かっていない可能性があること)
- 医薬品副作用被害救済制度などの公的な救済の対象にならないこと
数字・実績の載せ方
- 手術件数・分娩件数・患者数 医院として行った件数は載せられます。期間を暦月の単位で書き、正しいかを確かめられるよう、ウェブサイトや年報などで公表しておく必要があるとされています。Q&A では、総件数より手術ごとに 1 年単位で集計したものが望ましく、30 年分のような長い期間の件数は誇大広告に当たる可能性があるとしています。
- 調査結果の引用 出典・調査をした組織・調査の範囲・時期を併せて書く必要があるとされています。ごく一部の患者だけを対象にした調査や、謝礼で誘導した調査の結果は、うその広告として扱われます。
- 医薬品の名前 販売名(商品名)は載せず、一般的名称で書きます。「ジェネリック医薬品を採用しています」のように医薬品が特定されない書き方は可能とされています。
SNS・動画
事例解説書(第 6 版)は、SNS ではプロフィール・投稿・返信のどこかに禁止される内容があれば違反になるとしています。字数の制限で返信に分けて続けた投稿、画像や動画の音声、ハッシュタグ、個人のアカウントでも医院が特定でき受診を誘うもの、も広告に当たるとされています。自由診療の費用やリスクは、一つの投稿の中やプロフィール欄などで、まとめて一覧できるように示す必要があるとされています。
作る側の責任と、迷ったときの相談先
責任は医院だけにあるわけではありません。医療広告等ガイドラインでは、依頼を受けて広告を作る広告代理店やアフィリエイターも、内容が法やガイドラインに反していないかに十分気をつける必要があり、違反があれば依頼した医院とともに指導などの対象になり得るとしています。Q&A では、医療機関の検索サイトやポータルサイトの運営会社、広告を作った代理店にも、是正が命じられたり罰則が科されたりすることがある、としています。
医療広告の相談は、医院を所管する自治体(都道府県・保健所を設置する市・特別区)や保健所の窓口が受けます。厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページに、医療広告の相談窓口の一覧が載っています。違反が疑われるサイトを見つけたときは、医療機関ネットパトロールの通報フォームから知らせることもできます。
作り直す前に読んでおきたいこと
ホームページを作り直すときは、制作を頼む前に、医院の中で「載せたいこと」と「載せられないこと」を分けておくと、原稿のやり取りが減ります。この記事のチェックリストを、制作会社と原稿を確かめるときの共通の表として使ってください。
作り方は 3 つ|完成済み・自作・オーダーメイド
作り方はどれでも選べます。優劣ではなく、向いているケースが違います。
- オーダーメイドで作る(制作会社に依頼) 要件を渡せば設計から任せられます。自社に合わせて一から作りたい場合や、撮影・原稿まで任せたい場合に向きます。SITE PICK でもオーダーメイド制作の相談を受け付けています。
- 自分で作る(自作) 費用は抑えられます。そのかわり、ガイドラインや Q&A の改正を追い、自由診療の費用・リスクの書き方や症例写真の説明を、公開後もずっと自分で見直し続けることになります。
- 完成済みのサイトから選ぶ(完成済み) 構成・更新の仕組み・入口が組まれた状態を実物で確かめ、社名・写真・文章を差し替えて公開します。完成形を先に確認してから決めたい場合に向きます。この記事の集計は、その実際のサイトのデータです。