ホームページのリニューアルで決めることは 4 つです。置くページ、自分で更新する範囲、問い合わせと採用の入口、用意する写真と文章。デザインはこの 4 つが決まったあとで考えます。
この記事は、その 4 つ(ページ構成、更新方法、問い合わせ導線、写真と原稿)を自社の場合に当てはめて書き出せるように作っています。読み終わると、制作会社に渡せる要件のメモと、公開時の確認項目を含む持ち帰り用のチェックリストが手元に残ります。
まず、最優先の目的を 1 つ決める
「古くなったから」では判断が進みません。きっかけは次の 3 つのどれかにあてはまることが多いです。複数あてはまるなら、最優先の 1 つを選んでください。ほかの目的を捨てる必要はありません。
- 載っている情報が今の事業と合っていない 事業内容・料金・人・実績が古い。優先するのは「置くページ」の見直しです。
- 来た人が次の一歩に進めない 問い合わせ・予約・応募の入口が無い、または遠い。優先するのは「入口」です。
- 自分たちで更新できない お知らせ 1 本を足すにも制作会社に頼んでいる。優先するのは「更新する範囲」です。
3 つ目は見落とされがちです。SITE PICK が販売していた実際のサイト 145 件では、87% が自分で更新できるお知らせの仕組みを持っていました。今のサイトに無いなら、それだけでリニューアルを考える理由になります。
今のサイトを 10 分で棚卸しする
今のサイトを開きながら、下の表の「今のサイト」欄に、ある・ないを付けてください。右の列は、今回集計した 145 サイトのうち、そのページを置いている割合です。
| ページの役割 | 今のサイト | 優先度が上がる会社 | ページ設置率 |
|---|---|---|---|
| サービス・事業内容 | ある / ない | 何をしてくれる会社か。多くの業種で最初に読まれる | 47% |
| 実績・事例 | ある / ない | 頼んでよいかを判断する材料。BtoB・工事・制作系では優先度が高い | 39% |
| 料金 | ある / ない | 相場感を先に示す。問い合わせの心理的な壁を下げやすい | 39% |
| 会社・事務所案内 | ある / ない | 所在地・代表・許可や資格。信用の確認に使われる | 57% |
| 人・スタッフ紹介 | ある / ない | 人で選ばれる仕事(士業・医療・美容・教室)では検討したい | 18% |
| ご利用の流れ | ある / ない | 初めて頼む人の不安を減らす。相談から納品までを時系列で | 39% |
| 初めての方へ | ある / ない | 来院・来店型で持ち物・所要時間・予約方法をまとめる | 16% |
| よくある質問 | ある / ない | 電話で毎回聞かれることを先に答える | 59% |
| お知らせ・ブログ | ある / ない | 営業日・キャンペーン・採用の告知。更新している証拠になりやすい | 83% |
| お問い合わせ | ある / ない | 入口。どのページからも短い手数で届くかを確認する | 61% |
| ご予約 | ある / ない | 来店・来院・体験がある業種で。電話以外でも受けたいなら優先度が高い | 23% |
| 採用・求人 | ある / ない | 人を採る会社では優先度が高い。継続して採るなら採用サイトを分ける選択もある | 37% |
| アクセス・店舗情報 | ある / ない | 来てもらう業種で。地図・駐車場・営業時間 | 27% |
| お客様の声 | ある / ない | 無理に集めない。少数でも、実名や写真があるかを確認する価値がある | 6% |
「ない」が多いほど、デザインより先に構成から見直す価値があります。この記事では 3 つ以上を一つの目安とします。1〜2 つなら、そのページを足すだけで済むこともあります。
決めること 1:置くページ
棚卸しで「ない」だった行から、自社に当てはまるものだけを選びます。ページは多いほど良いわけではありません。
判断の順番は、来た人が知りたい順です。
- 何をしてくれる会社か(サービス・事業内容)
- 頼んでよいか(実績・料金・会社案内・資格)
- 誰がやるのか(人・スタッフ紹介)
- 不安はないか(流れ・初めての方へ・よくある質問)
- 次にどうすればよいか(問い合わせ・予約・応募)
この 5 つが揃っていれば、ページ数が少なくても判断しやすいサイトになります。逆に、どれかが欠けたままページを足しても、問い合わせにはつながりにくくなります。
決めること 2:自分で更新する範囲
リニューアルで差が出やすいのがここです。固定ページだけのサイトは、お知らせ 1 本を足すにも依頼が要ります。仕組みは 3 種類あり、必要な分だけ持ちます。
- お知らせ更新機能(搭載率 87%) 年に数回でも告知があるなら要ります。営業日・キャンペーン・採用の告知に使います。
- お問い合わせフォーム(搭載率 99%) 電話に出られない時間帯の問い合わせを受けます。集計したサイトでは、ほとんどが持っていました。
- 専用の投稿タイプ(搭載率 68%) 施工実績・診療科目・スタッフのように増えていく一覧を、固定ページを作らずに足せます。毎月増えるものがある会社で要ります。
お知らせには 2 つの数字があります。ページとして一覧を置いている割合が 83%、記事を自分で追加できる機能を持つ割合が 87% です。
判断の基準は「公開後 1 年で増える情報は何か」です。増えるものが無いなら、お知らせだけで足りることが多いです。仕組みを増やすほど費用は上がります。
決めること 3:問い合わせと採用の入口
入口は、ページとして独立しているかより「どのページからも短い手数で届くか」を先に見ます。確認することは 2 つです。
- 今のサイトで、事業内容のページから問い合わせまで何回クリックするか。この記事では 2 回以上を「遠い」の目安とします。
- 電話・フォーム・LINE・予約のうち、自社が実際に返事できる入口だけを置いているか。返事が遅れる入口は、かえって印象を悪くしやすいためです。
採用については、分ける基準は「見る人が違うか」です。顧客と求職者が同じサイトを見るなら採用ページ 1 枚で足りることが多いです。応募を継続して集めたいなら、仕事の 1 日・待遇・先輩の声まで持つ採用サイトを分けたほうが伝わりやすくなります。
決めること 4:用意する写真と文章
リニューアルが止まる理由として多いのが、写真と文章が揃わないことです。素材を集めてから構成を決めるのではなく、構成を決めてから素材の量を逆算します。
| 場所 | 枚数の目安 | 撮るもの |
|---|---|---|
| 最初の画面 | 1 枚 | 仕事の景色。人が写らなくてよい |
| 事業内容 | 分野ごとに 1 枚 | 作っているもの・現場・設備 |
| 実績・事例 | 載せる件数分 | 完成後の状態。工事中でなくてよい |
| 人・スタッフ | 出す人数分 | 顔を出せないなら手元・後ろ姿でも成立する |
| 会社案内・アクセス | 1〜2 枚 | 外観・入口 |
この表の枚数は編集上の目安です。集計したサイトから実測した数値ではありません。
文章は、各ページに 1 段落ずつあれば読めます。「何をしてくれるか」「頼んでよいか」「誰がやるか」「次にどうするか」の順に書きます。
長く書けば読まれるわけではありません。ウェブの使いやすさを研究している米国の調査会社ニールセン・ノーマン・グループ(Nielsen Norman Group)の分析では、平均的なページの滞在時間から読むことのできる文章量は最大で 28%、実際には 20% 程度と推定されました(2008 年。閲覧記録 4 万 5 千件あまりをもとにした推定)。大事なことを段落の頭に置き、すべてを読まれなくても伝わる順に並べます。
写真が少ない会社は珍しくありません。写真が少なくても成立する、顔を写さなくてよい、と設計の段階で決めてしまえば、素材待ちで止まりません。写真の量に構成を合わせるのは現実的な判断です。
ページ数と費用は、結果として決まる
ページ数を目標にしないでください。今回集計した 145 サイトは 3〜18 ページで、中央値は 11 ページです。少ないページで成立しているサイトも、二桁のページを持つサイトもどちらもあります。
SITE PICK では、基本料金にページ数と機能を一定数まで含み、それを超えるページ数と機能の数で価格が決まります。これは SITE PICK の価格設計であって、制作費の一般的な決まり方ではありません。
制作会社へ依頼する場合は、これに加えてデザイン、原稿作成、撮影、CMS の構築、既存コンテンツの移行、外部サービスとの連携などが見積もりに含まれることがあります。見積もりを比べるときは、どこまでが金額に入っているかを先に確認します。
ドメインとサーバーの費用は、どの方法で作っても別にかかります。
実例:同じ土木会社の 7 ページと 14 ページ
ここまでの 4 つの決めごとが、実際のサイトでどう違うかを見ます。同じ土木会社向けに作られた、ページ数の違う 2 つの完成済みサイトです。
違いは 3 つです。
- 価格の内訳。7 ページは 99,000円、14 ページは 99,000円 です。 SITE PICK の価格は、基本料金に、料金の対象になるページ数と更新の仕組みの数を足して決まります。お知らせの詳細のように機能から自動で増えるページは、料金の対象のページ数に数えません。そのため、表示しているページ数の差がそのまま金額の差になるわけではありません。
- 独立させたページ。少ないほうは事業・実績・安全を各 1 ページで見せます。多いほうは社員紹介と地域活動を独立させ、採用と地域の信頼を同じサイトで取りにいっています。
- 更新の仕組みの中身。少ないほうは施工実績を、多いほうは社員紹介を、増やせる一覧として持っています。会社が「増やしたいもの」の違いです。
どちらが正しいかではありません。発注者だけに見せたいなら前者、採用と地域の信頼も同じサイトで取りたいなら後者です。最初に決めた目的で選びます。
公開前に引き継ぐものを確認する
今のサイトで使っているものは、作り直すと自動では引き継がれません。使っているものがある場合だけ、引き継ぎ対象として確認します。使っていないものは、この機会に持たない判断もできます。
- ページのアドレス(URL) ページの住所が変わるなら、旧アドレスから新アドレスへの転送(301 リダイレクト)を用意します。Google 検索セントラルのサイト移転のガイドは、転送はできるだけ長く、一般的には少なくとも 1 年は残すよう勧めています。移転の間は検索での見え方が一時的に揺れるのは普通のことで、中規模のサイトなら新しいアドレスに置き換わるまで数週間以上かかる、とも書かれています。
- 計測と検索の管理 アクセス解析(Google アナリティクス)、タグマネージャー、サーチコンソール。今使っているものがあれば、新しいサイトにも入れ直します。
- ドメイン・サーバー・メール 契約先と管理者、DNS の設定、会社のメールアドレスを同じサーバーで使っているかを確認します。
- 問い合わせフォームの送信先 受信するアドレスと自動返信の文面。公開後に届かない事故が起きやすい箇所です。
- 今のサイトの控え 差し替える前に、今の内容と画像をバックアップとして残します。文章の再利用にも使えます。
どれも、すべての会社で必要になるわけではありません。今あるものだけを、引き継ぐか・やめるかで判断します。
持ち帰り用チェックリスト
ここまでで決めたことを、制作会社に渡す・社内で共有する形にまとめます。埋まらない項目が、まだ決めていないことです。
- 最優先の目的を 1 つ決めた(情報が古い/入口が無い/更新できない)
- 今のサイトの棚卸しをして、「ない」ページを書き出した
- 置くページを決め、置かないページも決めた
- 公開後 1 年で増える情報を書き出し、更新の仕組みを選んだ
- 問い合わせまでのクリック回数を確かめた
- 返事できる入口(電話・フォーム・LINE・予約)だけを選んだ
- 採用を同じサイトに載せるか、分けるかを決めた
- 写真の枚数を構成から逆算し、誰が撮るかを決めた
- 文章を各ページ 1 段落ずつ、誰が書くかを決めた
- ページ数と機能の数から、費用の目安を出した
- ドメインとサーバーの契約を誰が持つかを確かめた
- 今使っているもの(アドレス・計測・フォームの送信先・メール)の引き継ぎを確認した
- 公開後に誰が更新するかを決めた
作り方は 3 つ|完成済み・自作・オーダーメイド
要件が決まれば、作り方はどれでも選べます。優劣ではなく、向いているケースが違います。
- オーダーメイドで作る(制作会社に依頼) 要件を渡せば設計から任せられます。自社に合わせて一から作りたい場合や、撮影・原稿まで任せたい場合に向きます。SITE PICK でもオーダーメイド制作の相談を受け付けています。
- 自分で作る(自作) 費用は抑えられます。社内に作れる人がいて、棚卸しした全ページと更新の仕組みを自分で組める場合に向きます。
- 完成済みのサイトから選ぶ(完成済み) 構成・更新の仕組み・入口が組まれた状態を実物で確かめ、社名・写真・文章を差し替えて公開します。完成形を先に確認してから決めたい場合に向きます。この記事の集計は、その実際のサイトのデータです。